補助金は、事業計画書等を提出し、審査を経て、採択を得なければなりません。
不採択の事例は、事業計画書等の審査において、審査項目をクリアできない内容が要因です。

それでは、事業計画書等の作成について、どのような内容を作成すれば、「採択が勝ち取れるのか」は、不採択の方がみなさん聞きたいところでは、ないでしょうか。

1 各補助金における事業計画書作成における留意事項

ポイント1:申請する内容が「事業」として成立(収益)しているか

(1)事業の意図・背景・スト-リー性

本事業を始めようとする意図は何か、また、事業を行う理由は何か

(2)市場性・実行可能性

対外的には、取組む事業の市場成長性及び競合店の状況いかん
対内的には、保有資源や実施体制・保有ノウハウ等により確実に取組が可能か

(3)収支・採算性

事業実施後の効果として、①売上額・利益が確実に増加できるか、②設備投資に対する資金回収は確実にできる事業内容であるか

ポイント2:事業計画書は、審査側が理解できる内容となっているか

(1)理解・共感

事業実施の意図・背景や事業の効果が審査側の理解・共感を生む内容となっているか

(2)事業の意図から実施までの一貫性

事業を計画する意図と事業内容・導入する設備・技術・サービスなどが本事業の取組に一貫しているか

(3)わかりやすさ

審査側にとって、事業の内容が理解できる工夫を施されているか

2 小規模事業者持続化補助金における「採択と審査項目」について

各補助金の申請にあたって、各公募要項に沿って、申請書類を提出しても、要件審査において、採択されないと補助金の交付は受け取れません。

当社においては、小規模事業者持続化補助金の令和元年度補正<一般型>及び令和2年度補正<コロナ特別対応型>の補助金申請支援において、昨年は10数件のご依頼を頂き、結果として、すべて採択を得られました。

しかしながら、経営計画書・補助事業計画書の作成に当たっては、採択を得るためには、審査レベルの難易度は、「相当高い」と実感しており、申請者の事業内容に戦略的な具体性がない場合には、専門家(行政書士・中小企業診断士等)に依頼しても、苦戦することが少なくありません。

小規模事業者持続化補助金<一般型>の募集要項の審査項目は、次のとおりです。

(1)基礎審査

  1. ① 必要な提出資料がすべて提出されていること
  2. ② 補助対象者及び補助対象事業の要件に合致すること
  3. ③ 補助事業を遂行するために必要な能力を有するこ
  4. ④ 小規模事業者が主体的に活動し、その技術やノウハウ等を基にした取組であること

(2)加点審査

★経営計画書・補助事業計画書について、以下の項目に基づき加点審査を行い、総合的な評価が高いものから順に採択を行う

  1. ① 自社の経営状分析の妥当性
    ◆自社の製品・サービスや自社の強みを適切に把握しているか
  2. ② 経営方針・目標と今後のプランの適切性
    ◆経営方針・目標と今後のプランは、自社の強みを踏まえているか
    ◆経営方針・目標と今後のプランは、対象とする市場(商圏)の特性を踏まえているか
  3. ③ 補助事業計画の有効性
    ◆補助事業計画は具体的で、当該小規模事業者にとって実現可能性が高いものとなっているか
    ◆地道な販路開拓を目指すものとして、補助事業計画は、経営計画の今後の方針・目標を達成するために必要かつ有効なものか
    ◆補助事業計画に、小規模事業者としての創意工夫の特徴があるか
    ◆補助事業計画には、ITを有効に活用する取り組みが見られるか
  4. ④ 積算の透明・適切性
    ◆事業費の計上・積算が正確・明確で、事業実施に必要なものとなっているか

3 1及び2を踏まえて、採択されるための作成上の留意事項

加点審査における項目は、いずれも抽象的な表現であるため、「何をどう書けばいいのか、わからない」といったご相談が少なくありません。
単に、記入例に沿っての記述では、審査で不採択の結果となります。
「それでは、どう作成すれば、採択されるのか」のご照会については、業種によって異なりますが、経営計画書及び補助事業計画書の作成プロセス・内容のつながりと関連性が特に重要となります。
作成上のヒントは、次のとおりです。

経営計画書

  1. ★企業概要
    • ・沿革:開業以降の大きな出来事
      (事業開始、資格・許認可の取得、事業所移転、法人化、表彰歴等)
    • ・事業内容:主な商品・サービス、店舗情報、顧客層、取引先、競合先等の概要
    • ・業況:直近3~5年の売上・利益の推移・傾向のグラフ化、写真等は必須

    • →自社の経営状況・財務分析の妥当性を審査
  1. ★顧客ニーズ
    • ・沿課題の掘起し:顧客の意見や要望などからニーズの把握

    • →顧客からの聞き取りや業界ニュースなど、客観的な資料に基づき記述が必要
  1. ★市場の動向
    • ・自社を取り巻く「めぐる事情」や自社の商圏の動向(全国の市場動向ではない)

    • →商圏内の競合他社の状況や直近の業界のトレンドと課題
  1. ★自社や自社が提供する商品・サービスの強み
    • ・自社(経営者)の強み
      (例) 自社の大きな実績・競合店にはない特徴・顧客から評価されていること等本補助事業に結びつく実績・魅力など

    • →実績・魅力・特徴などの裏付け資料(写真・表彰・記事など)
      →自社の製品・サービスや自社(経営者)の強みを把握しているか
  1. ★経営方針・目標と今後のプラン
    • ・自社の強みをについて、今後、どのように伸ばしていくのかの方針を示す
      ・掘り起した顧客ニーズと市場動向を今後どう捉えて、経営方針・目標を定め、「今後のプラン」につなげていくのか

    • →最重要ポイント:目標とプランは、申請事業者の市場(商圏)動向を踏まえた、戦略的プランとなっているか
      →3~5年先の事業収支計画書(目標顧客数・目標売上高・目標利益率等は必須)
      (データはグラフ化:複合グラフ等(ビジュアルの図式化)

補助事業計画書

  1. ★作成にあたって
    • ・経営計画書の内容を反映した「補助事業計画書」であるか
    • ・「補助事業計画書」は、現在から将来に向かっての計画となる
    • ・業況:直近3~5年の売上・利益の推移・傾向のグラフ化、写真等は必須

    • →自社の経営状況・財務分析の妥当性を審査
  1. ★補助事業で行う事業名
    • ・「地道な販路開拓等の取組であること」に合致させること
  1. ★販路開拓等の取組内容
    • ・「自社の強みを活かした事業」であるとともに、「市場のニーズを捉えた事業」であることを強調する
    • ・取組の手順と経費の項目・内容・使途及び補助事業スケジュール
      • →事業の概要は、背景・経緯・狙い・効果等を説明
      • 課題解決につながる事業であり、経営目標・今後のプランと合致した事業であることを説明
        (事業の裏付け添付)
      • →以上の事業内容をポンチ図で分かりやすく示すこと
      1. ★補助事業の効果
        • ・事業の優位性
          「他社にない事業の優位性」を数値で示す
        • ・事業の効果
          直接的効果と間接的効果に分けて数値で示す
          →新規顧客の拡大→売上額増加→利益拡大
          →自社の評価拡大→商店街への効果→顧客へのサービス拡大

まとめ(総論)

補助金の採択を得るためには、「何をすればいいか」については、上記の審査項目を踏まえて、次のとおりです。

  1. 1 経営計画書(事業計画書)の作成にあたっては、審査員に「理解しやすいストーリーで、何を、どう、伝える」の工夫とテクニックの戦略が必要
  2. 2 理解しやすいツールとして、文面のわかりやすいストーリー化、各種の複合グラフ、各ポンチ図、写真は必須
  3. 3 事業効果を示すには、事業収支計画書などをビジュアルに示す工夫が必要

  4. なお、具体的な作成手法等につきましては、ご相談・お問合せください。